
2026年10月28日、WordPress 7.1.4が公開されました。複数の問題を直したセキュリティリリースです(WordPress公式)。Wordfenceは、WordPressの数えかたでは、22件の脆弱性を含む、と書いています(Wordfence)。
そのうち、もっとも重いのが、本体の更新処理の欠陥(CVE-2026-119977)です。アカウントを持たない人が、更新の最中に、サーバー上でコードを実行できます。11月3日には、米国のCISAが、悪用が確認された脆弱性の一覧(KEV)に加えました(CISAのデータ)。
ただし、「WordPressに、誰でも入れる欠陥」ではありません。狙えるのは、本体の更新が走っている、ごく短い間だけです。この記事は、その条件と、確認の方法、更新の前にやることを、一次情報で整理したものです。情報は、2026年11月7日の時点のものです。
日本語で出回っている情報には、原文と異なる訳や要約が、かなり見受けられます。この記事は、一次情報を私たちも原文で確認して書いていますが、読者の皆さんも、各社の原文でのご確認をお勧めします。
| 見出しの言い方 | 一次情報 |
|---|---|
| 認証なしでコードを実行できる | 認証が要らないのは、そのとおりです。ただし、更新の最中の数秒だけが対象で、CVSSの評価も「攻撃の複雑さ:高」です(CVEレコード) |
| 24万件の攻撃 | Wordfenceが遮断した、リクエストの数です。同社は、乗っ取られたサイトが多い、という意味ではない、と書いています(Wordfence) |
| 深刻度8.1 | 8.1は、CVE番号を付けたWordfenceの評価です。一方、WordPress自身のGitHubの告知は、深刻度を「Low」、CVEを「なし」としています(GitHubの告知、CVEレコード) |
| CISAが、悪用を確認 | CISAのデータでは、一覧への追加は11月3日、対応の期限は11月6日です。Wordfenceは、11月2日と書いていて、一日ずれています(CISAのデータ)。ランサムウェアでの使用は、「不明」です |
本体を、完全なパッケージで更新するとき、新しいファイルは、いったん、サイトの中の、upgradeフォルダーの下に展開されます。その展開先が、予測できる名前で、しかも、外からアクセスできる場所でした(GitHubの告知)。
発見者のUmut Bayram氏は、自社(Picus Security)のブログで、仕組みを次のように説明しています(Picus)。
Wordfenceの説明は、もう少し短く、展開先の初期設定を完了させ、管理者を作り、PHPを置ける、というものです(Wordfence)。
攻撃の側は、更新が、いつ始まるかを、知りません。そのため、次のような要求を、繰り返し送って、その瞬間を待ちます。
GET /wp-content/upgrade/wordpress-6.9.11/setup-config.php
Wordfenceは、大きな送信元の二つが、少数のサイトを、約14.5時間、繰り返し探っていた、と書いています(Wordfence)。
Picusの説明では、7.1.4は、次の三つを変えました(Picus)。
index.phpが、消されずに残る(フォルダーの一覧が見えるのを防ぐ)wp-config.phpが、対象から外れるただし、この修正を入れる更新そのものは、まだ、古い更新処理で動きます。展開を行うのが、すでに入っている古いコードだからです。Wordfenceも、更新は、脆弱な更新処理を、最後に一度、動かす、と書いています。そのため、次の「いま、やること」の二番目が、大事になります。
条件は、重なっています。Wordfenceは、次の四つが、そろう必要がある、と書いています(Wordfence)。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 1 | インストーラーのファイルを含む、完全なパッケージでの更新が、行われている |
| 2 | upgradeフォルダーの下のPHPに、外から、アクセスできる |
| 3 | 展開先のフォルダー名が、予測できる、または、見つかる |
| 4 | 更新の後始末で、一時ファイルが消される前に、攻撃を終えられる |
CISAがCVEレコードに付けた評価も、「自動化できる:いいえ」「悪用:実際に起きている」「技術的な影響:全面的」です(CVEレコード)。
実際に危ないのは、次のようなサイトです。
管理画面で、「ダッシュボード」の「更新」を開き、7.1.4、またはお使いの系列の修正版になっているかを見ます。Wordfenceは、自動更新が有効なら、すでに更新されているはずだが、思い込まずに確認を、と書いています。コマンドが使える環境なら、次で確認できます。
wp core version
更新の前に、upgradeフォルダーへの、外からのアクセスを止めます。WordPressは、このフォルダーを、サーバーの内部でしか使いません。止めても、更新は、止まりません(Picus)。
Nginxなら、次です。
location ^~ /wp-content/upgrade/ {
deny all;
}
.htaccessしか触れない場合は、WordPressのルートの.htaccessの、書き換えの規則より上に、次の一行を足します。
RedirectMatch 403 ^/wp-content/upgrade/
upgradeフォルダーの中に、.htaccessを置く方法は、使えません。古い更新処理が、展開の前に、そのフォルダーの中身を全部消すためです。
設定のあとは、そのフォルダーへの要求が、403を返すことを確認してから、更新します。なお、コマンドのwp core updateは、同じ更新処理を使うため、代わりにはなりません(Picus)。
Wordfenceも、更新の前に、PHPへのアクセスを、サーバー側で止めることを、追加の対策として挙げています。同社のファイアウォールで守られるのは、有料の版を使い、「Extended Protection」を有効にしている場合です。無料の版には、同じ保護が、11月27日に届きます。
自動更新で直ったサイトも、更新が走っていた間に、狙われていなかったかを、一度、確認します。アクセスログで、upgradeフォルダーの下の、PHPへの外からの要求を探します。正規の更新で、外から、これらのファイルを呼ぶことは、ありません(Wordfence)。
grep -E "/wp-content/upgrade/.*\.php" access.log
ログの場所は、環境で違います。Wordfenceが、特に怪しい、とする送信元は、次のとおりです。
103.59.160.171
2001:df1:e8c0::106b
51.89.103.78
185.177.72.61
195.3.220.7
96.62.218.148
20.217.186.29
87.58.197.83
154.26.238.8
20.46.43.126
あわせて、upgradeフォルダーの中に、残ったファイルがないか、見覚えのない管理者やプラグインがないか、確認します。ログに何もなくても、侵害されていない、という保証には、なりません(Wordfence)。
発見者のBayram氏は、自社のブログで、AIのモデル(本人の記述では「GPT 5.6 Sol」)を調査の相手にして、最初の調査から、動く攻撃の組み立てまで、約4時間だった、と書いています。この欠陥は、2008年公開のWordPress 2.7から、更新処理に入っていた、とも書いています(Picus)。どちらも、同社の自己申告で、ほかの資料では確かめられていません。
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