
AnthropicのAIコーディングツール「Claude Code」が、利用者のメールアドレスを、外部のサイトに送っていた、という報告が、2026年11月5日に、GitHubに出ました(issue #107757)。日本語の報道の見出しは、「勝手に送信」でした。
この記事は、報告と、Anthropic自身の公開ファイルを、原文で読み、確認できたことと、まだ確認できないことを、分けたものです。情報は、2026年11月6日の時点のものです。
日本語で出回っている情報には、原文と異なる訳や要約が、かなり見受けられます。この記事は、一次情報を私たちも原文で確認して書いていますが、読者の皆さんも、各社の原文でのご確認をお勧めします。
| 日付(2026年) | 報告 | 内容 | 状態 |
|---|---|---|---|
| 7月17日 | #78431(v2.1.212) | 実際のメールアドレスが、User-Agentに使われた。8月11日に、crates.ioへのcurlのログが、コメントで示された | 9月11日に、ボットが、非活動を理由に「対応予定なし」で閉じた。Anthropicの社員のコメントは、見当たらない |
| 7月25日 | #81138(v2.1.220) | アカウントのメールアドレスが、モデルの文脈に自動で入り、無効にする設定がない、という報告 | 開いたまま。Anthropicの社員のコメントは、見当たらない |
| 10月12日 | #101659(v2.1.285) | サブエージェントが、Liquipediaへのcurlに、メールアドレスを書いた | 開いたまま |
| 10月15日 | #102577(v2.1.300) | Wikipediaの検索で、メールアドレスが、4回のリクエストに入った | 開いたまま |
| 11月5日 | #107757(v2.1.318) | Web検索中に、メールアドレスが送られた、という報告 | 開いたまま。「Contributor」の表示の人が、修正を説明するコメントを、同日に書いている |
日付は、各ページの表示です。
7月17日の報告から、11月5日までは、約3カ月半です。
privacy modのREADMEは、この仕組みの前提を、こう書いています。文脈は、利用者を識別するために、ログイン中のアカウントのアドレスを、モデルに渡します。このmodは、そのアドレスが、クライアントの連絡先として、外に出ないようにするものです(README)。
一方、公式の文書の「データの利用」と「設定」のページには、この説明がありません。専用のページも、ありません。設定のページは、システムプロンプトは公開されていない、と書いています(設定)。
#81138の報告者は、アプリの中身を解析して、設定ファイルのアドレスが、毎回、モデルの文脈に入る、と書いています。同じissueの8月28日のコメントは、v2.1.246から、「無関係なサービスには送らない」という注意書きが、一緒に入るようになった、と報告しています(#81138)。
つまり、「送らない」は、モデルへの指示です。機械的な遮断では、ありません。
報告された例は、どれも、モデルが、シェルのコマンドを作り、その中に、アドレスを書いたものです。
curlのUser-Agentに、メールアドレスが入っていた(8月11日のコメントで、ログが示された。#78431)curl -Aに、メールアドレスを入れた。サイトは403を返した。報告は、Liquipediaが、APIの利用者に、User-Agentでの名乗りを求めているため、と説明している(#101659)サイトのほうが、連絡先を求めている場合がある、という点が、肝心です。#78431のコメントでは、Claudeが「APIの提供元の方針に従った」と答えた、と報告されています。crates.ioの案内は、連絡先を入れることを「推奨」していて、必須とは、していません(コメントの引用による。#78431)。
また、毎回起きるわけでは、ありません。#78431では、別の利用者が、同じバージョンで、再現できなかった、と書いています。モデルが、毎回、同じように書くわけでは、ない、ということです。
バージョン2.1.317の更新履歴には、こう書かれています。ウェブまたはシェルのツールの呼び出しが、アカウントのメールアドレスを、ネットワークに送る前に、確認する(CHANGELOG)。
実際の仕組みは、privacy modです。READMEによると、次のとおりです(README)。
READMEは、このmodを「礼儀であって、境界ではない」と書き、対象外を挙げています。
curl -u、Fromヘッダー)止める方法は、次の二つです。サーバー側の切り替えも、あります。
/plugin disable
設定(enabledPlugins)に、次を書く方法もあります。
"cc-plugin-privacy@builtin": false
ここに、食い違いが二つあります。
AIコーディングツールを、社内で使い始める前に、次の点を確認してください。
claude --versionで、2.1.317以上であることを確認します。/pluginで、privacy modが有効かを見ます。組織で管理する場合の、modの制御については、公式の案内があります。
公式の文書は、~/.claude.jsonに、アカウントの情報が入っている、と書いています(設定)。メールアドレスの有無は、次の読み取りだけのコマンドで、確認できます(TrueかFalseだけを表示します)。
python3 -c "import json,os; d=json.load(open(os.path.expanduser('~/.claude.json'))); print('email present:', 'emailAddress' in d.get('oauthAccount', {}))"
サイトが、連絡先を求めるなら、個人のアドレスではなく、会社の共用のアドレスを使います。CLAUDE.mdに、その方針を書く方法もあります。ただし、それも、モデルへのお願いで、遮断では、ありません。
gitのコミットに使うアドレスは、GitHubのnoreplyのアドレスにします。#81138には、モデルが、gitのコマンドで、noreplyではない個人のアドレスを、10件のコミットに付け、GitHubの機能が、そのpushを止めた、という報告があります。
modは、「礼儀であって、境界ではない」と、自分で書いています。外に出してはいけない情報がある環境では、通信の出口(プロキシ、ファイアウォール)で制御する案も、検討してください。
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